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すとれい・しーぷ010 日も真上に射そうとする頃、ようやく上体を起こしたオーナーは、まだ眠たげな目をしばたたかせながら、自身の頭を軽く小突く。そして小さくため息をついた。 「あの、オーナー、どうかされました?」 げんなりと、ベッドから降りようとしないオーナーの元へ、デスクから飛び降りながら問うと、彼女は、わたしの身を気にしながらも窓の外を見るのだった。 「完全に二日酔いだね…頭痛い」 再度頭を刺激するオーナーの表情には、しかと反省の色が見える。 フツカヨイ、とはそんなに辛い物なのだろうか? 昨日唐突に開かれた、オーナーとわたしの祝勝会。 最初こそ、和やかなムードで始まったのだが、夜が深くなるにつれ、参加者のテンションが一変。 興奮してシャウトする碧、それを止めようと酒瓶を片手に装備したラン。 泣きながら意味不明な言語を発する紅。 オーナーに至っては、なぜか栓の開いていない大量のワイン瓶を器用に積み上げ悦に浸っている。 酒を飲まない神姫達は、半ば呆れ気味に己のオーナーを見守る中、それは起きた。 お祭り大好き神姫・ライアがハメを外し、専用のバトルフィールドでもないのにメルの旋牙振り回し始めたのだ。 超重量を誇るドリルを、特殊な武装もしていないライアに扱えるはずもなく、彼女は呆気なくテーブルから転落していった。 落ちるだけでは事足りず、地面に突き刺さったドリルの回転に散々遊ばれた挙句、アームパーツが引っこ抜けて飛ばされたのである。 ライアの飛んだ方向にあったのは、オーナーの積み上げたワインタワー。 最下部を破壊された塔は、無残にも悲鳴を上げ崩れ去ってしまった。 傍に居たオーナーは勿論、周りで思い思いはしゃいでいた神姫オーナー達は、頭からワインをひっかぶる事になった。 「昨日は確かにはしゃぎすぎました…ですね…」 たはは、と真っ赤に染まった床を思い出し笑うと妙な敬語になってしまい、さらにばつが悪い。そういえば、昨日の宴会代は誰が負担したのだろうか、わたしの頭に、ふとそんな疑問が過ぎる。 大量のワインをダメにしてしまったのだ、負担者は多大なダメージを負ったに違いない。 まさか、ランが負担したわけではないだろう。彼女は学生だ、と言っていた。 「オーナー、昨日のお酒の代金は一体誰が…?」 一瞬の間。もしや聞いてはまずかったのだろうか。俯いた顔を恐る恐る上げると、オーナーの丸い瞳が映った。 「あぁ、たぶん父さん?あの店の経営はうちだから」 窓からさわやかな風が一陣、オーナーの柔らかい髪をさらって吹き抜けた。 それはわたしの声にならない悲鳴だったのかもしれない。 まさか、お父様にまで迷惑をかけてしまうとは。 わたしの小さな胸は、罪を犯した友人(知人?)のためにジクリジクリと痛んでいた。 もう一週間になる。 オーナーは気にするな、と言ってくれるのだが、どうもそんな気にはなれない。 のか、と後悔ばかりがわたしを追い立てる。 そんな暗雲のような思考回路を裂くかの如く、それはやって来た。 「神姫の起動の仕方がわからない?もしかして、機械音痴?」 オーナーの呆れた眼の先に正座で俯いているのは見知った顔。紅だった。 最近になって気づいたのだが、オーナーがこのように毒づくのは紅に対してのみだ。 トクベツ、そんな言葉が浮かぶが、かぶりを振って振り払う。 オーナーのトクベツは、わたしだけで十分。 「ぐ…仕方ないだろう、俺は今まで神姫に興味がなかったんだから」 図星をつかれようやく出た言葉は搾り出したかのような羞恥にまみれた言葉だった…と思う。オーナーの家に来るくらいならばお店でサポートしてもらったらどうなのだろうか。 俯き続ける紅を冷ややかに見つめると、さらなる攻撃、否、口撃が飛んできた。 「ランに聞いたらよかったんじゃないの?」 にやにや顔でオーナーは続ける。完全に楽しんでいる。間違いない。 しかし、なぜランに?ランといえば、あのワイン事件の犯人ライアの主である。 「かっこ悪くて頼めるものか、妹だぞ…」 妹、と。紅の口からはとんでもない言葉が零れた。ランと紅が兄妹。 そろいもそろってこの一族は…。 ふつふつと理不尽な怒りが沸いてきた頃に、オーナーの小さく、可憐な笑い声が背後から聞こえてきた。 それは耐えいれずもれた笑い、とでも言おうか、抑えようにも止まらない、といった笑い。 よほど俯く紅がおかしかったのかオーナーはそのままベッドの倒れ込んでしまった。 「っくく、いいよ、教えてあげる」 いまだ笑いを堪えながら、宝石のような眼の溜まった涙を指で拭うと、オーナーはそっと手を伸ばした。その行為にドキリとしたのは、わたしだけではなかったはず。 白い紙袋に入れられたやや大きめの箱を取り出すと、オーナーはまじまじと箱の中身を窓から見つめた。慈しむようなそんな優しい眼差し。 わたしも起動前にあのように優しい瞳で見つめられたのだろうか、想像するだけで胸が熱くなった。 しかし、視線を上げたオーナーの目は悪戯っぽく紅を捕らえる。 「いい趣味ですネ」 意味ありげに口端を上げたオーナーの顔は小悪魔、いや悪魔……魔王にすら見えた。 紅は終始俯いている。 ゆっくりとデスクに降ろされた箱の中身。当然、同じ神姫として気になるもので… 本棚や引き出しを足がかりにデスクへと飛び乗ると、大きな箱の中に瞳を閉じた状態でピクリとも動かない神姫が鎮座していた。 淡い紫のストレートの髪に、整った顔立ち。小さく開いた唇はまるで花のようで。 スラリと長い手足は、Tall素体のものだろう。黒いペイントが白い肌に映えて美しい。 「ルキスもこれで先輩神姫だね」 先輩…なんだかくすぐったいような響きに顔が熱くなるのを感じた。 メルのような素敵な先輩になれるだろうか? 白い手が、わたしの頭上を滑り、箱へと伸ばされた。 封印シールを長い爪で切ると、段重ねになっているブリスターを引きずり出す。 その一つ一つの動作ですら待ち遠しい程わたしの胸をときめかせるのだ。 一番上のブリスターで眠る神姫をオーナーが抱き起こすと、起動のための講義が始まった。 『AVANT PHYSIQUE製 MMS-Automaton神姫 ヴァイオリン型紗羅檀 APV14』『セットアップ完了 起動します』 ここまで来るのにどれだけの時間が経っただろう。思わず何度か省電力モードに移項してしまった程だ。 現に窓の外は色を変え、赤く染まる空の境界が夜闇に侵食されつつあった。 こんな調子で本当に神姫と付き合っていけるのだろうか、一抹の不安の元、機械的な音声が疲弊した紅に突き刺さった。 『オーナーのことは何とお呼びすればいいでしょうか?』 いきなり話しかけられ挙動不審になる紅をなおもオーナーは笑い続けている。 確かにこの男、飽きない。催促するように二度目の呼びかけが発せられると、紅は咳払いをして声を潜めた。 「お、オーナー?」 どこか照れくさそうに頬を染めてそっぽを向く紅。それを見て腹を抱えるオーナー。 段々と紅が哀れにすら思えてくるが、オーナーが楽しければわたしはそれでよかった。 「では、私の名前は何になさるのかしら?」 機械的な音声ではなく、今度は涼やかな声が起動したての神姫から零れた。 腕を組み、タンタンと足でリズムを取る。早くしなさいよ、と言わんばかりの行動にわたしは目を丸くした。こんな神姫もいるのか。 どうもわたしは彼女とは仲良くなれなさそうだ。 「キミの名前、そうだな…ミューズ、とかはどうだい?」 きょどる紅に問うようにオーナーが至極優しく、黒い神姫の名前を告げた。 ミューズ9人いるとされる神々の娘。ヨーロッパの多くでは音楽を意味する言葉。 確かに、ヴァイオリン型の彼女にはぴったりといえるだろう。 「貴女が決めるのかしら?この木偶坊ではなく?」 紗羅檀はあくまで高圧的に顎で紅を示すと、腕を組みなおした。 ピリピリした空気の中、オーナーだけは柔らかい表情を崩さない。 「約束したんだ、キミのオーナーと。キミの名前を考えるって」 うっとりするような優しい声に観念したように紗羅檀は腕組を解いた。ふわりと笑みを零す。 「気に入りましたわ。貴女、なかなかのセンスですね」 紗羅檀、いや、ミューズの言葉に満足したのか、オーナーは極上の微笑を浮かべると、紅にバトンタッチするように手を引いて、彼女の前んい立たせた。 神姫オーナーになったことに実感が沸かないのか、惚けた顔で彼女の前に立った紅は絵に描いたようなダメ男だった。それがおかしくてオーナーは何度目かわからない笑いを零すのだった。 next .
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MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 9」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 大阪港の端、貨物船やフェリーが静かに停泊している。その一角に真っ黒の巨大な豪華客船が停泊していた。 豪華客船には明々とまばゆい光が窓から零れ落ち、桟橋をうっすらと照らす。 桟橋に数台の観光バスが到着する。 バスからは数十人の取りまとめのない老若男女、スーツ姿のサラリーマン風の男や、杖をついた老人、制服を着た高校生、ガタイのいいスポーツマン風の男、ギャル、はてには小学生としか思えないような女の子などなど・・・ぞろぞろとバスから降りてくる。 年齢も服装も性別もまったく何一つ共通点がない集団であったが、一つだけ共通しているある物をみんな持っていた、アルミ製のカバンである。 海原「おーーーおーー今日もぎょうさんきよったな!見てみ、グロリア」 海原は最上階のスィートルームのべランダから桟橋を覗き込む。 グロリア「あそこにいる集団はすべて武装神姫オーナーですね」 スクルド「目でわかります」 青い武装を纏った2体の神姫が桟橋を覗く。 海原「ああ、そうや!ジジイやババア、サラリーマンのお兄ちゃんも折れば、女子高生もおる、熟した団地妻もおんな!!おっ!!!みてみい、あそこにおるんの小学生のガキやで!」 グロリア「ふふふ、神姫のオーナーになるのは年齢や性別は関係ありませんからね」 海原「そうや、武装神姫は平等や、差別はせえへん!大事なのは強かったらいい・・・ただそれだけのことだな、なあ!!瑠璃よ」 海原はベランダのテーブルで、酒を飲む瑠璃に話題を降る。 瑠璃「・・・・ああ、そうね」 。 瑠璃は真っ赤なミニチャイナを着ており、長い足をえらそうにXに組んで興味なさそうに酒をあおる。 海原「どーした、瑠璃?なにか不満か」 海原は瑠璃のとなりの椅子に座り、瑠璃のスラッとした生足をスリスリとさする。 さも当然のように、まるで挨拶でもするかのように海原は瑠璃の豊満な胸を揉み、体を舐めるように触る。 瑠璃「・・・・」 もう慣れた。3日前にこの男と交わってから毎日、隙があればこうやって私の体を触り弄ぶ。 最初は悪寒が走るほど嫌だったが、人間慣れると恐ろしいもので三日も毎日、昼夜を問わずされると何にも感じなくなってきた。 瑠璃はそっぽを向く。 瑠璃「別に・・・」 海原「へっへへ、また今夜も激しくやろうぜ、瑠璃ちゃん」 海原はそういうと瑠璃の顎をくいっと上げると深くキスを行う。 瑠璃「ん・・ちゅ・・・んん・・・・く・・・」 自分のマスターが好きでもない男に蹂躙されるのをみてスクルドは顔を背ける。 グロリア「スクルド、下にいこうか・・・さっきの連中の下見に行こう」 スクルド「ええ、そうですね」 海原「グロリア!今日は一日、好きに遊んできていいぞ、喧嘩売られたら全部買って分捕っちまえ!」 海原が叫ぶ。 グロリア「イエス、マイマスター」 海原「ふへっへ、その方が瑠璃ちゃんも喜ぶだろう?お金をいっぱい稼がないとな・・・俺のグロリアと瑠璃ちゃんのスクルドがいれば無敵だ。怖いものなんかねえ・・・・2人で頑張ってゆうすけ君を助けようぜ、へへっへ」 海原はそう言ってニヤつくと、瑠璃の股間に手を沿わす。 瑠璃「ん・・・く・・・」 瑠璃の口から甘い吐息が漏れ出す。 グロリア「・・・・では、行ってきます」 スクルドは海原に嬲られる瑠璃をただ呆然と眺めている。 スクルド「・・・・・」 グロリア「・・・行こう、スクルド」 グロリアは軽く敬礼すると、スクルドの手を優しく引いて部屋から出て行く。 海原「・・・ふっ・・・すいぶんとご執心だな・・・」 海原は瑠璃の体を揉み解しながらそっと瑠璃の耳元で囁く。 瑠璃「はあはあ・・・ん・・・何が・・・」 瑠璃が荒い息を吐いて聞き返す。 海原「グロリアだよ、アイツはどうやら俺以上にやり手だな」 瑠璃「ぐっ・・・・なにが・・・あっ・・・」 海原は野太い指を瑠璃の蜜の滴る秘所に這わす。 海原「寂しがりやでな、一緒にそばにいてくれる『誰か』がほしかったんだよ」 瑠璃「ん・・・あ・・・・なんのこと・・・」 海原「アイツは強い、恵まれている。だが、それだけだ・・・強い奴は多いが、孤独に耐えれる奴はそうそういない、己の寂しい心を紛らわせてくれる『誰か』がほしかったんだよ・・・アイツは」 瑠璃「・・・・・ふっ・・・・あっははは!!」 瑠璃は突然、笑い出す。 海原「・・・・何がおかしいんだ瑠璃?」 瑠璃「それってあなたのことでしょう?・・・・お金持ちで、権力もあって強くてやりたい放題、でも孤独、だから『お金』で私を縛って一緒にいたいってことでしょう?」 海原「・・・・」 海原の手がぴたりと止まる。 瑠璃「グロリアもあなたも一緒よ・・・お互いそっくりだわ・・・」 海原「ふっふ・・・ふは・・・そうだな、結局は奴も一緒だ・・・言われて始めて気がついたよ」 瑠璃が自分から海原の首に手をかけてキスをする。 海原「んぐ!?」 瑠璃「そんなに・・・そんなに寂しいなら・・・一緒にそばにいて欲しいなら・・・そばにいてあげるわよ・・・」 海原「・・・・瑠璃」 海原は瑠璃の細い腰をぎゅっと抱きしめるとベッドに倒れこんだ。 アヴァロンの一階ロビーで受付を行うオーナーたち、老若男女のオーナーたちはアルミケースを空けて自慢の神姫たちを見せて登録を済ませる。 ルカ「24、25、26・・・うわァ・・・まだまだいっぱい来ますねマスター」 天使型のルカはロビーの横にあるテーブルの上で、受付に訪れる神姫たちを確認して騒ぐ。 神代は腕を組んで、アヴァロンに乗船するオーナーたちをじっと確認する。 アヴァロンに乗り込んだ新たな乗客は全部で60人、大型の観光バスが一台あたり30人を乗せてそれが2台来たのだから、けっこうな数だ。 そして、最後の乗客の姿に神代は顔をしかめる。 アヴァロンに最後に乗船したのは、神代と同じ若い女だった。 濃い紫色の胸元が大体に開いたタイトな女性用スーツ。スカートは酷く短く、スラッとした長い足がカツカツとタラップに音を立てる。 受付には若いスーツ姿のボーイが名簿を見て女の登録を行う。 ボーイA「いらっしゃいませ、ようこそアヴァロンへ」 若い女はさっと、携帯のパスワードを見せる。 □ 重邀撃戦闘機型MMS「リカルダ」 SSSランク 二つ名「ミョルニル」 オーナー名「春日 凪」♀ 20歳 職業 神姫マスター ボーイは名簿と女のパスワードを照会する。 ボーイA「確認しました。春日様であられますね」 春日「そうだ、しばらくここで稼がせてもらうよ」 春日と名乗る女はにやっと笑う。 神代「・・・・春日!」 神代は椅子から立ち、叫ぶ。 春日「麗・・・あは♪なんでこんな所に?2年ぶりかな?生に会うのは?」 テーブルの上でルカが目をぱちくりさせる。 ルカ「あれれ?マスターのお知り合いですか?」 春日「おやおや、これが麗の新しい神姫かい、アンヴァールの初期型か・・・これまたクラシックだね」 神代「ルカだ。私の新しいパートナーさ・・・」 春日「そうかいそうかい、いいね。素敵な神姫じゃないか」 春日はルカをまじまじと見る。 神代「案内しよう。私は4日前に乗船しているんだ」 春日「まさかこんなところで昔の友達にあえるなんて思ってもいなかったよ、麗」 神代「・・・私はなんとなく春日がきそうな気はしていたけどね・・・」 春日「・・・ふふふ・・・・」 神代は船内の中央にあるバトルロンドの観客席に春日を案内する。 シャンデリアがきらびやかに光輝き、赤い絨毯が敷かれ、何十人もの神姫やオーナーでごった返していた。 いかにも怪しい風体をしたオーナーたちはテーブルを囲み、立食をしたり神姫の話をしたりして騒いでいる。 春日「なるほど、これがアヴァロンか・・・噂には聞いていたが、なんともまあ贅沢な非公式のバトルロンドの会場だな」 神代「考えたものよ、豪華客船をまるまる一隻使って裏の非公式バトルロンドの会場にするなんて・・・」 春日「これだけ派手に豪勢にやってるってことは、スポンサーと主催者はさぞかし羽振りがいいんでしょうね・・・神代」 春日の目がキラリと光る。 神代「・・・・」 ルカがくすりと笑う。 ルカ「最初、ここに来たときもオーナーは同じこと言いましたよね」 神代「羽振りがいいのは、スポンサーと主催者じゃない、参加するオーナーよ」 春日「なるほど、なるほど・・・ここでは一日に何億って金が動くって聞いたけど」 神代「ここは他の非公式のバトルロンドの会場とはわけが違う、ホンモノの金持ちとMMSマスターが来る場所よ」 春日「なるほど、なるほど・・・で・・・私はホンモノのMMSマスターかしら?」 神代「・・・・さあ?それはこの会場で生き残れたら、ホンモノってことじゃないかしら?」 春日「あはッ!!そうねその通りだわ」 神代と春日は二階の観客席に座る。 神代がボーイを呼ぶ。 神代「ワインと軽い食事を・・・」 ボーイB「かしこまりました」 春日「羽振りがいいのは、麗・・・あなたもいっしょみたいだね」 神代「そうかな?」 ボーイが上物のワインとサンドイッチ、スープやパン、クリームの乗ったデザートを持ってくる。 神代「では、頂ましょうか?」 春日「ああ、美味そうだ。さすがは豪華客船贅沢だな」 神代と春日はバトルを観戦しながら食事を楽しむ。 ルカは春日が大事そうに持っているアルミケースをチラチラと見る。 神代「そのアルミケースの中には、アイツがいるのかい?」 春日「っと・・・そうだった・・・改めて御紹介しないとね・・・」 春日はテーブルの上にアルミの頑丈なスーツケースを置く。 鍵を開けて、ゆっくりとフタを開ける。 ケースの中にはドライアイスが詰められ、一体の完全武装の神姫が静かに眠っていた。 ルカ「ふわああ・・・すごい武装ですね・・・・」 ルカが感嘆の吐息を漏らす。 神代「・・・さすがだな、春日、見事な武装だ」 春日は自慢げに自分の神姫を語る。 春日「そうだろう!!ほら、私の神姫をぜひもっとよく見てくれ、また新しい機構のエンジンを仕上げてみたんだ。非常に精密で複雑なんだが・・・動作も精度も確実でね、すばらしいだろうまるで芸術品のようだろう美しい・・・ここまで実用段階に仕上げるのには、大変な労力がかかったんだ」 たいていの一般的なレベルのMMSオーナーは、既存のMMSの装備を改造するのが関の山で、精密な素粒子エンジンを工作できる腕前を持ったMMSオーナーは極めて稀である。 春日は軽い外見に寄らず、天才的な才能と頭脳と腕前を持っている一流のMMS職人である。 春日「一般人が精製できる素材といえば、たかが知れているが、私の工廠には業務用の射出生成機があるし、より複雑な加工が可能なマルチベンダー(サル○ニーニ、超高級加工機械)も数台ある。樹脂や軽合金、複合素材やクチクラなども扱える。それにかのカタリナ社のバックアップもある。私の「リカルダ」は一級の素材と最先端技術で作られた最高級の武装神姫だ」 神代「・・・カタリナ社製の次世代型の最新鋭MMSか・・・前にまして凄みが増したな」 春日は興奮しつつ、そして冷静に話しを続ける。 春日「私は武装神姫が大好きだ。武装神姫を愛しているし、それらが動いて戦う姿を見るのは無上の喜びだ。愛する神姫には活動の機会を与えてやりたい。それが武装神姫の存在を証明するものだと私は思っているからね」 神代「戦うための、純粋な武装神姫か」 春日はうなずく。 春日「そうだ純粋な武装神姫だ・・・麗、武装神姫の本懐とはなにか?考えてみたことがあるかね?」 神代は肩をすくめる。 春日「武装神姫の本懐とはなにか?いろいろとそれについて考えを持っている奴はいるだろう。だが私にとってそれは一つしかない!!正しいのは一つだ!!」 ルカ「・・・・」 春日は興奮して机を叩く 春日「武装神姫にとって本懐はなんだ? 武装神姫に武装を施させずに、可愛らしいドレスやお洋服を着せて着せ替え人形をさせることかね? 下種な男共の慰み者として、性欲処理をさせるための自慰の道具か? それとも、神姫同士でリアルで戦うのは危険だからといってバーチャルの仮想空間でピュンピュンピコッピコと電子音とCGで出来た弾丸で戦うことかね? お店で店番をしてレジ打ちをさせて、バイトでもやらすことか? 可愛いエプロンでも着せて飯でも菓子でも作らせることか? 歌でも歌わせて踊ってアイドルの真似事でもやらせるか? 近所の公園で空き瓶を並べて射的でもやるか? それとも家にいるネズミやゴキブリを駆除でもするか? 冗談じゃない。そんな連中は武装神姫じゃない、絶対に武装神姫とは呼ばせない。ぶっ殺してやる!!! 武装神姫は獲物を仕留めるハンターでなければいけない。 それも己の全てを賭けた本当の戦いだ。 私の武装神姫が仕留めるべき獲物とはね、もっと危険で狡猾で、倒すべき価値のある獲物でなければならない。 では武装神姫にとってもっとも恐ろしく強大な天敵とは何か? それは同じ武装神姫以外、他ならない、武装神姫の敵は武装神姫以外にはありえないのだよ 私はこの非公式のバトルロンドこそが武装神姫によって与えられた最高の舞台だと思っている。 ここではなんでもが「自由」だ!!! 下らない武装神姫を縛るようなルールもなければ、制限もない!! 持てる力を全て出し切って戦う場所だ!!」 ダン!!と机に拳を振り上げて叩きつける春日。 春日「ハァハァ・・・んく・・・」 春日はワインを掴むとゴクゴクと流し込む。 春日「麗!!!私の言っていることが何か間違えているかね?」 神代はやれやれといった感じで春日に手を振る。 神代「ああそうかもな、そうかもしれないな」 ルカが小声で神代に囁く。 ルカ「こ、この人・・・なんか怖いです」 神代「昔からだ・・・気にすんな」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「敗北の代価 10」 前に戻る>「敗北の代価 8」 トップページに戻る
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バトル環境の設定 Michelle stage-001 神姫バトル用筐体 ミッシェル・サイエンスの作った神姫ヴァーチャルバトル用設置型筐体 かなり大型 筐体の構成は、本体とプレイヤーブース二機で構成されている 本体はタッチパネル式のインフォメーションディスプレイと観戦用大型スクリーンがある プレイヤーブースは神姫投入用ポッドと追加投入ポッド、指揮用デスクセットがある。外から見えないように扉もついている 三年間の定期的な稼動データ提出の引き換えに、破格の安値でゲームセンター等に販売している フィールドの広さ、最大高度、最低深度などを細かく設定できる。ただし制限時間は設定できない 戦闘可能神姫数は理論上無制限であり、戦闘中であっても他の追加投入ポッドから神姫を投入することができる ただし、武器防具等の装備品のみの追加投入はできず、神姫が装着して追加投入のみ可能となっている LPが無くなるか、戦意を喪失した神姫は自動的に筐体から排出され、試合終了まで再投入は不可能 試合終了条件は神姫の全滅かマスターによる投降であり、どちらかが満たされるまでは終わらない 神姫投入用ポッドは大人が一人入れるほどの余裕があるが、もちろん人間が入ってもバトルはできない 筐体自体にいくつかのバトルステージが登録されているが、拡張カードを使用すれば知識のない一般ユーザーにも簡単にステージを製作することができる Michelle stage-001 PLUS バトル筐体用拡張カード ミッシェルのバトル筐体のステージを個人的に作るための拡張カード 全国に販売中 一枚のカードで、最大20個のステージデータを登録できる 広さ等はもちろん、配置するオブジェクトや水辺や丘などの地形、雨や雪などの天候、動物などのギミックまで設定できる 武器縛り等の特殊ルールも設定できるので、全てを合わせるとかなりのバリエーションになる 自分に有利なステージや自分に不利なステージを作って、戦いに幅を広げてみよう バトルの手順 易しい?使い方マニュアル バトルを始めるには 1、まずは本体のインフォメーションパネルで受付をしましょう (以降分岐) (挑戦を受ける側) 2、戦いたいステージがあるなら設定しましょう。特に無ければランダムに決められますが、挑戦者が設定した場合はその設定が優先されます 3、ディスプレイが「挑戦者待ち」の表示になったらあなたの準備は完了です、画面に指定されたプレイヤーブースで準備しましょう 4、挑戦者が来るまで神姫の準備をしながらゆっくり待ちましょう。焦らずじっくり待てる余裕が勝利へ繋がるかもしれません 5、挑戦者が来たら、一度挨拶をしておくと良いかもしれません。心地よい挨拶が新たな繋がりになるかもしれません 6、指揮席にあるディスプレイの表示に従いって神姫と、拠点に配置する追加武装を投入用ポッドにセットしましょう 7、全てセットしたら準備完了のボタンを押しましょう。投入用ポッドのシャッターが自動で閉まりますので、手などを入れないように注意してください 8、準備が完了したら指揮する方法を決めましょう、直接声をかける方法がポピュラーですが、ヘッドセットやキーボードによる指示にも対応しています 9、相手の準備が完了したら、いよいよバトル開始です。神姫たちと共に勝利を目指しましょう (挑戦する側) 2、インフォメーションパネルで挑戦者待ちの人がいるかどうか確かめましょう。受付済みの人がいたら、相手が知り合いでも知り合いでなくても対戦を申し込みましょう 3、戦いたいステージを設定しましょう。相手がステージ選択をランダムにしていた場合は、あなたの設定した内容が優先されます 4、ディスプレイの画面が「受付完了」の表示になったら準備完了です。画面に指定されたプレイヤーブースで準備しましょう 5、準備の前に挑戦する人に挨拶しておくのも良いでしょう。もしかしたら相手の手の内を見れるかもしれません 6、以下、挑戦を受ける側と同じです。神姫たちと共に頑張りましょう もどる
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ここにある分全部引き取りってことで成立だな。しかし何だ、最近の連中はなってないね。リセットもせずに神姫を捨てるなんてな。しかもご丁寧に自分のパーソナルデータだけはかき消して。おかげでここにいる奴らはマスターの顔も覚えてないくせに毎晩マスターマスターって泣きやがるんだぜ。そういうアプリも出回ってるし何ともやるせない世の中になったもんだ。ま、ペットと違って本当に生きてるわけじゃないし、あの事件以降売るにも色々面倒になったから持ってたくないって考える連中がいるのも分かるさ。そのおかげでこの仕事も成り立ってるんだしな。 -保護される野良神姫は2039年以降急増した。しかし現実にはその3倍以上の神姫が遺棄されていると考えられている 連続神姫ラジオ 浸食機械 17:届かぬ思い 「行くの?勝君、プルミエ」 清四郎が僕たちに声をかける。 <うん、僕の願いはみんなで無事に帰ることだから。もちろん楓も、清四郎も一緒に> 「やれやれ、初めて会ったときは泣き虫のちびっ子だったのに変われば変わるもんにぇー」 清四郎が苦笑しつつ頭をなでてくれる。僕はそれが無性にうれしくて思わずにやけてしまう。隣にあるプルミエの意識がむっとしているのを感じるが感情を抑えられない。不意に清四郎が僕たちをばっと抱きしめてきた。 「でもね、博愛主義もほどほどにしなさい。自分のことと、後楓のことを大事にして欲しい」 真剣な表情で僕たちを見る清四郎に僕もプルミエもドキリとした。 「あーし達は神姫で、あなたたちは人間なんだから」 そう言うといたずらっぽい笑みを浮かべてきびすを返した。 「さて、あーしは楓を慰めに行こうかしら。たぶん怒られるでしょうけどにぇ」 去っていく清四郎を見送ると僕も歩き出した。コウガのいるところはもうすぐそこだった。歩きながらいろいろなことを考える。なぜ自分はこんなにも神姫を助けたいのか、なぜこんなにも神姫と共にいる未来を望むのか。そして出会った人達について思い出す。付き合い方の違いこそあれ神姫様々な形で愛を注ぐ人達に思いをはせる。だからなぜ楓はあんなにも怒っていたのか・・・その答えはイメージできなかった。 次回:絶望の先に続く・戻る
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俺はいきなり叫び、右手の一指し指で四人目の奴に指した。 叫んだ事によってオフィシャルバトル室にエコーが掛かる。 …ちょっと恥ずかしい。 「お、お前はあの時の青年。久しぶりだな」 四人目の奴は軽く笑いながら俺に答えた。 四人目…七瀬 都。 俺より年上の23歳の女。 職業は本屋。 数回会った事があり、最近では朝に行った本屋の常連客となっている俺。 ある意味ちょっと特殊な女だ。 特に口調が。 理由は知らんが、何故男口調? まぁ、俺が口出し出来る範囲じゃないので何も言わない。 ツッコミ入れたい所だが。 ていうか。 「青年は止めろって。前に名前を教えたろうが、天薙ってな」 「まあまあ、いいじゃないか青年よ」 「だから!…もういい、指摘するのも疲れた。あっ!!それと何で店を休業にしちっまったんだよ!!!」 「私はここに用事があったからな。店に誰もいなきゃ休業にするは当たり前だろ」 「…それもそうだな。で、用事てーのは?」 「いやそれがな、うちの妹とその友達と私でVIS社のテストに参加する事になってるんだ」 「テスト…は!まさか、相手はお前かよ!?」 「すると、天薙が私の相手か」 「あ。名前で呼んだ」 正直、驚愕した。 まさか相手が知り合いになるとはな。 でもこいつは良い機会だ。 一度闘ってみたかったんだよな。 ん? ちょっと待てよ。 確か七瀬の神姫は二人だった筈。 でも俺の方は四人。 神姫の人数が合わないじゃん。 「あぁ~、それについては大丈夫だ。うちの妹が一人と妹の友達が一人。これでこちらの神姫も四人なる」 「ふぅ~ん。オーナーは参対壱か。まぁいいや。にしても都に妹がいるとは初耳だな。へぇ~結構可愛いじゃないか」 「そうか、そいつは嬉しい事を聞いた。でも、それとこれは言っとかないといけないな」 七瀬は俺に近づき小声。 「ハルナに手を出したら、その時は覚悟しろよ」 ちょっと目を細めて声のトーン低くして言った。 ほぉ~ん、中々妹想いの姉だこと。 それに妹の名前は『ハルナ』て、いうんだ。 「大丈夫だ。俺はガキには興味ないんでね」 「何!?お前はうちの妹の愛くるしさと魅力に気づかないのか!」 「…あのさ。お前は俺と妹をくっつけたいのか、くっつけてほしくないのかいったいどっちなんだよ」 正直解らん。 でも都の妹さんは可愛いと思う。 もしあれで中学生じゃなきゃ口説いてたな。 あ、でも、口説いたら都に何されるか解ったもんじゃないし、俺の神姫達も嫉妬で機嫌を損ねる可能性が。 「はいはい。いつまでチチクリあってるの。今から今回の運用テストの説明するからよ~く、聞いておくのよ」 姉貴の声でオフィシャルバトル室はシーンとなる。 つーかぁ、チチクリあってねーよ。 さっきの会話で何でそうなる。 「今回のこのテストで使用する筐体は次世代に近い筐体である。最高4VS4まで可能な武装神姫チームバトルが可能。これが完成すれば我が社の売れ行きが向上…ゲフン、ゲフン」 姉貴はワザとらしく咳き込む。 態々こういう行為をするのは姉貴らいしいと言えば姉貴らしい。 まるで漫画みたいだ。 「でも完成には程遠い。ぶっちゃけ、ここに集まった四人のオーナーが闘い、その闘ったデータを追加すれば完成の近道になるでしょう」 うわ~、ぶっちゃけちゃったよ、姉貴の奴。 こんなんでいいのか~? いや、良くないだろ。 「で、この筐体の説明に入るね。この筐体はバーチャルの世界で戦ってもらうわ。オーナーは筐体の中に自分の神姫達を入れ、後は戦闘が始まるまで待つだけ。ここら辺は大抵同じです。あ、そうそう。オーナーが神姫に助言するのは有効で無制限です。実際には神姫達が闘いますがそれはホログラムで作られて神姫です。神姫のデータを筐体が読み込み、筐体が神姫の映像を作り出す。それによって本体の神姫は闘っておらず、データ化した神姫が闘いあうという事です。ですから神姫の本体には傷一つもつかずに戦闘を行う事ができます。お分かり頂けましたか?」 「はい、質問」 「何?タッちゃん」 「姉貴の説明がヘタクソ過ぎて解りません」 「…タッちゃんの今月のバイト代金半額に決定」 「うわー!?!?謝る!謝るからそれは許してくれ!!」 冗談を言うじゃなかった。 ちょっと後悔。 「他に質問はありませんか?…ないようですね。それではバトルを行うのは今から20分後です。それまでオーナー達は個別の部屋に入って作戦を練り直しても結構です。それとタッちゃん!遅刻は厳禁ですよ!!」 そこで俺にふるかい。 まぁどうでもいいや。 「さて、と。20分後にまたな、都」 「あぁ、楽しみにしてる」 「あ、そうそう。俺がアンタの妹に手を出す気は無いが、他の男に手を出されるのは時間の問題じゃないのか」 「なっ!?おい、それは一体どいう意味だ!」 「そのままの意味さ、妹の方は何とも思わないで男の方が片思いてな感じかな」 「はぁ~?それよりも男って誰だよ!」 「…灯台下暗しって言うのはこの事だな。まぁ自力で見つけな」 チラッとハルナの方に目線を置く。 でもすぐに目線を都に戻し一瞥して俺は個別の部屋に入った。 …。 ……。 ………。 天薙チーム。 部屋に入ると、よく芸能人が楽屋にいる時みたいな部屋だった。 神姫センターって一体…。 いや深くは考えるのは予想。 さっそく煙草に火をつけ椅子に座る。 「ねぇご主人様」 「ん?何だ??」 「いつのまに都さんと仲良くなったんですか?」 「都とか?いつの間にか…かな。それがどうした?」 「いえ、ただご主人様が他の女と楽しく喋っている所を見ると、ちゃっと妬けちゃって」 「嫉妬か?可愛い奴だな、お前」 アンジェラスに微笑すると頬を桃色に変化していく。 照れてるのか? でも嫉妬っか。 神姫が人間に嫉妬…。 ちょっとイヤだな。 おっと、それよりもこいつ等に大事な事を言っておかなきゃな。 「でだ、これからお前等に重要な話がある」 「何でしょうか、ご主人様?」 俺は二つずつ付けてるネックレスを外し、ネックレスの中身を一人づつ俺の神姫達に渡す。 「アニキー、これはいったい何?」 「まぁそう急くなクリナーレ。アンジェラスから順に言うから」 『GRADIUS?』 系統:大光銃剣? 重量:5 攻撃:0~900? 命中/HIT数:0/1 射程:0~∞? 必要:- 準備:0? 硬直:0? スタン:0~? ダウン:0~? スキル:- 神姫侵食度:100 備考:通常攻撃は近距離の場合は斬りつけ、遠距離は剣の先から螺旋模様線状レーザーのCYCLONE LASERを撃つ事ができる。 試作なので弱い。 『OPTION?』 系統:オプション? 重量:0? 防御:0? 対ダウン:0~∞? 対スタン:0~∞? 索敵:0~500 回避:∞? 機動:∞? 攻撃:0~900? 命中:0~900? 必要:- スキル:- 神姫侵食度:100 備考:通常攻撃は神姫と同じ攻撃をする。 ラグビーボールみたいな形状で赤く光っていて数は四個。 装備している神姫の周りをクルクルと回ったり編隊したりする。 試作なので弱い。 「次はクリナーレ」 『ネメシス?』 系統:重力剣? 重量:15 攻撃:1500 命中/HIT数:-100/4 射程:使用者の有視界 必要:- 準備:200 硬直:100 スタン:300 ダウン:300 スキル:- 神姫侵食度:150 備考:通常攻撃はGRAVITYが敵に接触した時にその場で重力空間を発生させ、その重力空間は爆発する。 人間の目から見て殴った瞬間に爆発するように見える。 中距離は二次元の球を作りだしその穴に向かって銃類の武器で攻撃、その攻撃は敵を中心にして間合い半径1メートルから20メートルの間で360度ランダムで撃った攻撃が敵に向かっていく、GRAVITY HOLEというものがある。 試作なので弱い。 「これはルーナ」 『沙羅曼蛇?』 系統:火炎灼剣? 重量:2 攻撃:800 命中/HIT数:100/10 射程:0~300 必要:- 準備:10 硬直:10 スタン:300 ダウン:0 スキル:- 神姫侵食度:120 備考:通常攻撃はある程度相手距離を保ちつつ、隙あらば一気に敵の懐に飛び込み近接攻撃する。 試作なので弱い。 「最後はパルカだ」 『ライフフォース?』 系統:光闇弓剣? 重量:8 攻撃:900 命中/HIT数:1000/2 射程:150~500 必要:- 準備:350 硬直:10 スタン:500 ダウン:50 スキル:- 神姫侵食度:150 備考:通常攻撃は普通にノーマルな弓で攻撃。 もしくは敵に近づいて攻撃。 試作なので弱い。 「説明は以上。違法改造武器だから使用するときに違和感を感じる筈だ。しかも、試作型でまだ正確な性能も解っていない。くれぐれも油断はするな。メイン武器はこれで決まり。後の武装はノーマルでいくぞ」 説明を一気に言い終えて。 ふぅ~喋り疲れた。 神姫達に説明していたおかげで最初に吸った煙草がもうなくなっていた。 『もったいないなぁ』と思いながら新しい煙草に火をつけ、ひと段落するのは心地良かった。 「ねぇねぇダーリン。この武器ってダーリンが作ったの?」 「んあ?あぁそうだ。お前等専用の武器だ」 「ボク等の専用武器!?ヤッター、嬉しいなぁー!」 「あ、姉さん!そんなに振りましては危ないですよ!!」 …やっぱり違法改造武器は止めた方がいいかもしれない。 いくら試作型でもそれなりの攻撃力はある。 真にあの武器を使ったら相手を破壊する攻撃力が出てしまう。 でも幸いな事に今回はバーチャルだ。 本体の神姫に攻撃する訳でもないので破壊は免れる。 なんだかあいつ等に罪悪感を感じるなぁ。 まぁこれも勝負だ。 やるからには本気でいくしかない! 一方、七瀬&八谷チーム
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●メインウェポン ○天使型 『GEモデルLC3レーザーライフル』 系統:ランチャー・射撃・遠 重量:10 攻撃:1000 命中/HIT数:100/1 射程:100~500 必要:- 準備:100 硬直:100 スタン:220 ダウン:180 スキル:[攻]ハイパーブラスト 神姫侵食度:40 備考:原作とほぼ同じです。 『アルヴォPDW9』 系統:機関銃・射撃・遠 重量:5 攻撃:500 命中/HIT数:100/10 射程:140~320 必要:- 準備:60 硬直:60 スタン:50 ダウン:70 スキル:[攻]サラマンダーチルドレン 神姫侵食度:20 備考:原作とほぼ同じです。 『アルヴォLP4ハンドガン』 系統:短銃・射撃・中 重量:3 攻撃:350 命中/HIT数:200/2 射程:25~180 必要:- 準備:5 硬直:50 スタン:0 ダウン:100 スキル:[反]クイックドロー 神姫侵食度:10 備考:原作とほぼ同じです。 『M4ライトセイバー』 系統:剣・打撃・近 重量:1 攻撃:220 命中/HIT数:200/3 射程:0~130 必要:- 準備:20 硬直:20 スタン:150 ダウン:180 スキル:[攻]ジャスティスラッシュ 神姫侵食度:15 備考:原作とほぼ同じです。 ○悪魔型 『GA4“チーグル”アームパーツ』 系統:ナックル・打撃・近 重量:8 攻撃:900 命中/HIT数:150/2 射程:0~180 必要:攻撃Lv15 準備:75 硬直:140 スタン:150 ダウン:180 スキル:- 神姫侵食度:50 備考:原作とほぼ同じです。 『シュラム・RvGNDランチャー』 系統:ランチャー・射撃・遠 重量:5 攻撃:750 命中/HIT数:120/2 射程:180~340 必要:- 準備:180 硬直:200 スタン:50 ダウン:140 スキル:- 神姫侵食度:20 備考:原作とほぼ同じです。 『モデルPHCハンドガン・ヴズルイフ』 系統:短銃・射撃・中 重量:3 攻撃:360 命中/HIT数:200/2 射程:35~180 必要:- 準備:10 硬直:45 スタン:100 ダウン:0 スキル:[反]ラピッドドッグトラップ 神姫侵食度:10 備考:原作とほぼ同じです。 『フルストゥ・グフロートゥ』 系統:短剣・打撃・近 重量:1 攻撃:215 命中/HIT数:190/2 射程:0~155 必要:- 準備:10 硬直:10 スタン:20 ダウン:100 スキル:- 神姫侵食度:5 備考:原作とほぼ同じです。 『フルストゥ・クレイン』 系統:投刃・投擲・中 重量:1 攻撃:250 命中/HIT数:140/2 射程:130~320 必要:- 準備:30 硬直:25 スタン:0 ダウン:120 スキル:[追]ピアスドナイトメア 神姫侵食度:5 備考:原作とほぼ同じです。 『アングルブレード』 系統:剣・打撃・近 重量:2 攻撃:260 命中/HIT数:180/2 射程:0~120 必要:- 準備:25 硬直:75 スタン:120 ダウン:190 スキル:- 神姫侵食度:15 備考:原作とほぼ同じです。 ○犬型 武器開発中 ○猫型 武器開発中 ○兎型 武器開発中 ○違法神姫ショップ型 武器開発中
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前へ 先頭ページ 次へ 第五話 相対 眼下のサルーンと巡航速度を同調させ、クエンティンは飛んでいる。 雪が前方から真横に吹き付けるが、不思議なことに一粒も彼女へぶつかることはなかった。 風圧のせいではない。彼女の周囲にはエイダにより目に見えないエネルギー膜が張られてあって、それで雪のみならず空気中の埃を払いのけ、さらに空気抵抗を大幅に減衰させてあの驚異的な高機動性を叩き出しているのである。 彼女の顔に当たる風は突風などではなく、ほとんどそよ風程度と言ってよかった。 サルーンとの同調速度から若干落とし、クエンティンは車の斜め後方上空へつく。さらに後方の光点、エイダとおなじメタトロン・プロジェクトのプロトタイプ、彼女のいわば姉妹機にも気を配る。まだ姿は見えない。攻撃してくる気配も無かった。 同調速度へ戻し、相手が接近するのを待つ。先制攻撃は向こうへくれてやるつもりだった。一般に戦闘においては先制攻撃側が有利とされているが、エイダが『問題ありません』と言ったのでそうすることにした。 エイダは姉妹機の武装を知っているようだった。具体的にはやはり情報機密ロックに該当するようで教えられなかったが、エイダは機転を利かせて間接的にアドバイスしているのである。 すると少なくとも相手は、あのアヌビスというやつは攻撃と同時に着弾するようなたとえば直進するレーザーのような武器は持っていないことになる。他の武装は、まあ、後々身をもって分かるだろう。 クエンティンはつい先ほどの、理音と鶴畑興紀の会話を思い返していた。 思い出せば思い出すほど悔しさがこみ上げてくる。 が、神姫に人権はあるべき、無くてよいなどという当為的な議論はともかくとして、人権が無いのは事実であり、また安易に人権などもらってしまえば神姫を趣味のためのツールと考えている人間の自由を剥奪してしまうことになるのもまた事実だった。 それは認める。認めるしかない。 だが、もっと重大な懸念がある。人権が与えられたその瞬間、武装神姫はその存在意義そのものを失ってしまう可能性があるのだ。 たとえば、もしバトルがしたくて神姫を買ったオーナーの元にバトルをしたくない神姫がやってきた場合。神姫に人権が付与されていたなら、オーナーは神姫の「バトルはしたくない」という権利を絶対に守らねばならない。 絶対に、である。理解のあるオーナーならいいが、全員が全員そうだとは限らない。 他にも、「ああしろこうしろ」とむやみやたらに命令することも許されない。 それらを破ったら即刻、神姫に対する人権侵害となる。 所有者が所有物の権利を尊重するという、立場の逆転が起こってしまうのだ。 武装神姫はオーナーがお金を出して買った所有物であり、だから武装神姫はオーナーの願いや命令を聞くのであり、すなわちそれこそが武装神姫なのである。少なくとも武装神姫という商品はそう作られた。 「神姫はパートナーだ」「妹だ」「娘だ」あるいは「恋人です」「女王様でございますうぅう!」などの、オーナーそれぞれの気持ちや理解は関係なく。神姫をどう捉えるかはオーナーの自由だ。 言い切ってしまえば人間の所有物だから武装神姫なのだ。命令を聞かなければ武装神姫として存在している意味が、無い。 オーナーが「君のやりたいようにやるがいい」と言ったとして、言われた神姫が自由にしているように見えても、当の神姫は――意識的であるにしろ無意識的であるにしろ――自由にやりたいことをやっているのではなく、「自由にやれ」という命令を聞いているに過ぎない。 武装神姫は明確な意思を持っているが、しかし人権を欲することはしたくてもできないのだ。少なくとも人の所有物として生まれている今現在は。人権が欲しいなら所有物であることをやめる必要がある。武装神姫でなくなる必要が。 いま、神姫が人間らしい――という表現も、自分が神姫だということをさし引いて考えるならおかしいな、とクエンティンは思った――生活を送れるかどうかは、ひとえにオーナー一人一人の良識に全てが委ねられているのである。 それならアタシは幸せだ。クエンティンは理音に心から感謝した。 心から? うーん、やっぱり神姫に心は、意思はあるかも。少なくともアタシ自身はそう思う。クエンティンはひとまず納得した。 変わって、正義の話に関しては、いささか疑問を感じていた。 『鶴畑興紀の話には条件が必要です』 クエンティンの思考を読んだのか、エイダが答える。そのとおりだ。 彼の『個人の正義は誰にも侵害されず、また自分の正義で他人の正義を侵害してもいけない』という主張は、個人体個人の間でのみ有効な主張だ。 これがもし集団が主体となった場合、彼の主張は一気に崩壊する。 なぜならば、集団の正義は往々にして他集団や他個人の正義を侵害することで成り立っているからだ。 いや、侵害という言葉は適切ではないかもしれない。集団そのものの意識や目的はともかく、集団というものは集団であるということ自体が理由となって、どうあがいたところで他の正義(思想や権利と言い換えてもいいかもしれない)のうえにかぶさる様にできている。 簡単な例を挙げるなら、企業がある。とあるひとつのカテゴリに属する企業は、同じカテゴリにある他企業の正義を押さえつけなければ存在できない。押さえつけなければその企業は死んでしまうからだ。製造販売業ならば、他企業よりも良いものを作って売るという行動がそれにあたり、その行為は同時に他企業を押さえつける行為となる。他企業は押さえつけられたままでは滅びてしまうから、同じようにより良いものを作って、売る。 そのいたちごっこが続く。俗に競争と呼ばれるやつだ。だからこそ技術は発展し続け、消費者はより良い生活ができる。お姉さまは「このケーキおいしくなったわね」と言える。 鶴畑コンツェルンがやっていることはまさに正義の押し売りなのかもしれない。他企業を押さえつけ、自らがのさばる。それを意図的にやっている。 ふと、クエンティンは思った。他の正義を押さえつけることは、すなわち支配ということではないか、と。 「支配者って、自分の正義を他人に押し付ける人のことかしら?」 クエンティンは個人ではなく企業人としての鶴畑興紀をイメージしながら、言葉に出して言って見た。誰に訊いたわけでもない。が、たぶんエイダに訊いたのだろうとクエンティンは思った。 『無条件ならば、そのとおりです』 エイダは答えた。 ならば、私はバトルにおいては自分の正義を他人に押し付けているのだろうか? 『それは違います』とエイダは言った。 「どうして? 私はバトルで、支配者になろうとしているのよ」 クエンティンはエイダと出会う直前に考えていた、支配者になるのだという考えを伝えた。相手に支配していると気づかせない、雪のような支配者になるということを。 『バトルは認められた戦いです』 エイダは即座に返答した。はからずも理音が考えていたことと同じことだった。バトルは認められた戦いであるし、どんなに戦ったところで(神姫に人権が無いことを前提とすれば、たとえリアルバトルでも)死者は出ないから、対戦者同士の正義はぶつかり合わない。 もしぶつかるとしたら対戦者相互の個人的な感情事情のみで、その多くは「自分が勝ったら何々をして(~になり)、相手が勝ったら何々をする(~になる)」というものである。バトルの勝ち負けによりどっちの願望が実行されるかというものだ。 正義という言葉を使うなら「自分が勝ったら自分の正義で相手の正義を押さえつけても良いね」という対戦者お互いの承諾なのである。バトルという行為そのものにはまったく関係が無い。 「……そうかな?」 『そうです』 エイダはさらに続ける。 仮にバトルの中で支配者となったとしても、それは相手の正義の侵害ではなく、バトルの中で展開を有利に運べるようになったというだけなのだ。勝っても負けても誰も死なないから、取り返しのつかないことにはならない。つまりバトル後もそれぞれの正義は続いてゆくのである。 『ただし、戦死者が出る実戦であった場合、意味は大きく違ってきます』 相手を殺さなければ自分の正義の遂行が危ういのである。 実戦とか死ぬとかいう例は大げさだが、これを現実的な事象になおしてみるならば、たとえ個人対個人でも正義のぶつかり合いはある。 間に権利的か利益的、企業的な干渉があった場合(たとえば子持ちの夫婦が離婚したときの親権争い、恋敵同士による一人の女性の争奪戦、どちらか一方しかその企業との契約がとれない場合における営業担当同士の交渉戦、など)、負けた側は自分の正義、あるいは願望を貫けないのだから戦わざるを得ない。 この部分が鶴畑興紀の主張に足りない。と、エイダは言った。たとえ個人でも、正義がぶつかるときがあるのだ。 正義を物質みたいに扱っているな、とクエンティンは感想を言った。死んだらその先に物質は持っていけないというわけか。 でも、自分自身に即してみるならば、と、クエンティンは考える。神姫に人権が無いという事実は置いといて、リアルバトルで破壊される、死ぬ、のはやっぱり嫌である。もうお姉さまとお話もできないと考えると、途方も無く恐ろしかった。人工知能基本三原則の自己保存でもあるが。 そのリアルバトルを今からやるのだよな。 改めて考えると、クエンティンは突然言いようの無い恐怖におそわれた。 メインジェネレータ、人間で言う心臓のあたりの鼓動が早くなり、全身の駆動部分が陽電子頭脳からの微弱なパルスを感じてぶるぶると震え始める。クエンティンはつまり怖さで縮み上がっているのだ。 負ければ壊される。死ぬ。という恐怖。リアルバトルをやるのは初めてではない。ついさっきだってあの一つ目どもとさんざリアルバトルをやったばかりだ。 なのに、この恐怖は何だろう。やめたい、やりたくない。死にたくない。あのサルーンの中に今すぐ取って返してお姉さまの胸に飛び込みたい。 「うっ……」 引きつった声が漏れた。声だけでなく、股間部の排出口から廃熱を吸い取り切った古い冷却水も漏らしてしまいそうだった。 やばい。このまま戦ったら負ける。確実に。 『感情回路の異常を感知。沈静プログラムオープン』 エイダが報告。 すると、途端に恐怖が薄らいでゆく。全身をすっきりした感覚が走り、ジェネレータの鼓動は平常に戻り、震えも止まった。 「あ、ありがとう、エイダ」 『どういたしまして』 鎮静剤を打たれたのと同じようなものだな、と思いながら、クエンティンはお礼を言った。彼女がいなければこのままちびっていたかもしれない。 「あいつは? アヌビスは」 『変化はありません』 後ろを振り返る。光点はまだ動いていなかった。さっきから同じ速度で追いかけてきている。接近するそぶりは無い。 「まだ仕掛けてこないなんて……。おかしいな」 そう言った瞬間だった。 光点がふっ、と消えた。 「えっ!?」 『警告、脅威接近、オンザノーズ!』 エイダが叫ぶ。 ギュバッ! 聞いたことの無い奇妙な音とともに、目と鼻の先にそいつが現れた。 ピンと立った細長い耳のようなアンテナのついた、犬とも狼ともつかないフードのようなヘッドギアをかぶった神姫だった。ハウリンではない。ハウリンのはこんなに鋭角なヘッドギアではないし、なにより目が隠れない。その神姫の目は見えなかった。ヘッドギアの側面から後頭部にかけて覆うように薄いレースのようなものが首まで垂れている。 背中に八枚の羽のようなユニットを浮かばせ――背中にくっついていない――、腕を組み、右手に錫杖の形をした長い得物を携えていた。 ボディの色は今のクエンティンよりも黒に近く、胸部の球体から赤いエネルギーラインが全身に渡っている。 静かな威圧感が自分をわしづかんだように、クエンティンは感じた。 『離脱してください!』 「はっ!?」 我に返ってバックブースト。左手でエネルギーシールドを張りつつ、クエンティンは間合いを取る。 攻撃されていたら間違いなくやられていた。なぜ攻撃してこなかったんだろう。やはり捕獲するためなのだろうか。 『MMSタイプ・アヌビス、「デルフィ」です』 「あいつが……!?」 瞬間移動してきた。リアルで。ありえない! 一体どんな原理が使われているんだろう。 『ゼロシフトです』 「え?」 『いまの瞬間移動のことです。エネルギーバリアの空気抵抗減衰能力と空間圧縮技術を応用し、現在位置と移動先の空間を圧縮することで短距離の超高速移動が出来ます』 「ちょっ、ちょっと待ってよ、あいつの武装データはロックが掛かってるんじゃないの?」 『デルフィの武装データはセンサーで確認した場合公開されたとみなし、その武装に関するロックが無効になります』 つまり奴からのあらゆる攻撃は一度見なければ情報ロックが解除されないというわけだ。 「それじゃあ分からないのと大差ないじゃない……」 避けられればなんとかなるが……、所見の攻撃の回避率が総じて低いことは経験で知っている。 しかしこれでもエイダはなんとか機転を利かせてがんばっているのだ。 「ノウマンって奴、恨んでやるわ」 クエンティンはロックをかけた顔も知らない責任者に、頭の中でパンチを食らわせた。 デルフィの表情は変わらない。唯一露出している唇は結ばれたまま、ピクリとも動かなかった。 表情や仕草から意図を読むことができない。クエンティンはバトルの際そうして戦ってきた。どんな行動にも予備動作というものが必ずあり、ほとんどの攻撃はそれで対応できたのだ。 こんなにも先の読めない敵は初めてだった。いや、正確に言えば初めてではない。エイダとの融合前の、一つ目との戦いもこんな感じだった。融合後は性能差で勝てたに等しい。 クエンティンはまだ、この融合後のボディに慣れきっていなかった。 奴の意図はなんだろう。自分を壊すのか、拉致するのか。 どちらであれ、いやだった。 『目的地まであと二分です』 エイダが報告する。 ギュバッ! 同時にデルフィは瞬間移動。クエンティンの目の前に出現する。 右手の錫杖がしゃらりと鳴り、横なぎに払われる。 「ぐっ!」 とっさシールドを張って重防御。にもかかわらず鈍器で殴られたような衝撃が全身を揺さぶった。シールドの衝撃吸収機能がほとんど役に立っていない。 『距離をとって戦ってください。近接戦闘は危険です』 言われきらないうちにクエンティン、バックブースト。 ガ、ガシォーン! ホーミングレーザーを放ちつつ距離をとる。サルーンと並行しながら動かなければならないから、制御が難しい。平行飛行の操作をエイダに委ねる。これでさほど気にならなくなるが、サルーン側へはすばやく移動することが出来ない。 ヅシャシャシャ! デルフィはシールドを張りつつ錫杖をぐるぐると回転させ、レーザーを防御。レーザーは一発も有効弾にならない。 グヴィーンッ デルフィの背中から何十本もの、血のように赤いレーザーが射出された。 『ロックオンレーザーです』 エイダが言った。 しかし、鋭角的にのたうちながら迫ってくるレーザーに、クエンティンはどう避けたらよいか見当が付かない。 『可能な限りひきつけ、前方へブーストしてください』 すかさずエイダのアドバイスが飛ぶ。 「可能な限り引き付けて、って……」 四方八方から迫るレーザーを見渡し、さらに間合いを取ろうとしながらクエンティンは怖気づいた。 「抜ける隙間がない!」 クエンティンはシールドを最大出力で展開、四肢を踏ん張って耐える態勢に。 着弾。 左手がばらばらに砕け散るかと思うほどの振動がやってきた。クエンティンは目をつぶってしまう。 レーザーの嵐は止まらない。ロックオンレーザーを時間差で撃ちつづけているのだ。それでも一撃一撃が重かった。 姉妹機のくせして、アタシはこんなに撃てない! 射撃がやむ。かろうじて左手は砕けなかった。 うっかり気を抜いてしまい、そのままシールドを解除する。 『攻撃警告!』 ギュバッ! キスでもしてしまいそうなほどの近くに、デルフィが出現した。 気を取り直す間は与えられなかった。 ドツッ! 錫杖が振り下ろされ、左肩口に痛打。 「ぎゃうっ!?」 異常なパワーをクエンティンは感じた。左肩装甲にひびが入る。 そのままデルフィは錫杖を振り回してうずくまるクエンティンを文字通り袋叩きにしてしまう。 右わき腹から左大腿、胸部、右腕部、左すね。回避するタイミングを逃したクエンティンは、手足をちぢこめて耐えるしかない。 一撃で倒すことはしなかった。デルフィはわざと急所をそらして殴りつけているのだ。それでクエンティンは、こいつは自分をさらっていこうとしているのだと分かった。 こんなところで黙ってさらわれるわけには行かない。 「うわあーっ!」 ブレードを跳ね上げる。 「!」 ギュバッ! デルフィはゼロシフトで離れる。口元がやや開いている。意外な反撃に初めて驚愕の表情を見せたのだった。 クエンティンは高速の思考でエイダに指令。 〝エイダ、一番簡単なサブウェポンを手動で出して!〟 〝しかし、多大な負荷がかかります〟 〝いいから早くやって!〟 エイダは手動プログラムを開始。途端にクエンティンの頭部から煙が上がり始める。この時代において容量、計算速度、冷却効率そのどれをとってもトップクラスのスペックを誇る陽電子頭脳に、その許容をはるかに上回る負荷がかかっていた。これでいて最も軽いサブウェポン一つを呼び出しているのだ。 頭痛ががんがんと暴れだしたがクエンティンは耐えた。 右手の平にいくつもの小さな螺旋が出現。それらは銀色の球体となって顕現する。 クエンティンは球体を握り締めると、腕をぶん回し、デルフィに向けて投げつけた。 サブウェポンを使われるとは考慮していなかったのか、デルフィは瞬間移動で回避することなく球体を当てられた。 球体はデルフィのボディにくっつくと、ボディと反対の方向に細長い光を放出した。 ゲイザー。 球体の強力な推進力により対象を拘束するサブウェポンである。 『鶴畑家対空ファランクス砲の射程範囲に到達しました。進行方向へシールドを展開してください』 クエンティンは言われたとおりにする。 直後、サルーンの向こう側からオレンジ色に光る筋が高速で飛来した。筋の正体は五発に一発装填されているファランクス砲の曳光弾である。 空気を切り裂く音が繋がって聞こえる。毎分六千発以上の高速射撃により、辺りは鉛の雨と化した。 二十ミリという大口径ライフル弾の衝撃を、クエンティンのエネルギーシールドは完全に吸収していた。もはやこれは武装神姫なんかじゃない、れっきとした兵器で通用する、とクエンティンは思った。それはたぶん当たっているかもしれない。人工知能基本三原則は付け忘れたのではなく、きっと最初から付いていなかったのだ。自分が死にたくないと思ったのは自分の感情であって、きっと三原則は影響していなかった。 エイダは答えなかった。回答不能なのかもしれない。 それに、三原則無しで死にたくないと思った私は一体なんなのだろう? ゲイザーによりシールドも展開できないデルフィは、無数の銃弾を浴びて火花を散らして墜落し、見えなくなった。 あんなものでは傷をつけることもできないとクエンティンは推測した。きっといまシールドを切ったとして、二十ミリ弾ぐらいではこのボディをぶっ壊せないだろう。あいつ、デルフィも同じだ。エイダとは姉妹機なのだから。 シールドを張りつつクエンティンはサルーンへ戻る。 サルーンはそのまま巨大な正門をくぐり、屋敷の敷地内へと消えていった。屋敷は煌々と明かりが点いていた。 その後二分間、デルフィが墜落したとされる範囲に射撃は継続された。二門のファランクス砲から発射された弾丸はのべ三万発以上にのぼった。 追撃は無かった。 雪が降り続いていた。 戦いの跡も、三万発の鉛の雨のえぐった地面も、すべからく雪の支配する世界に覆われた。 屋敷の明かりが一つ、新たに灯った。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
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その他設定 斗小野グループ 日本有数の財閥「斗小野家」が率いる巨大グループ その影響力は各方面へと及ぶ 國崎技研 健四郎が勤める神姫関連のパーツを創っている会社 自社制作だけでなく、個人制作の武装の代理販売なども行っている 組織略図(状況により変更あり) 技術部 1課・フレーム・架装部門 2課・周辺機器・用品部門 3課・銃火器部門 4課・刀剣・防具部門 5課・衣料部門 6課・特殊用品部門(通称エロっ課) 営業部 1課・自社製品販売部門 2課・代理販売部門 3課・広報部門 細かい課分けも実際は殆ど役に立っておらず、技術部の人間が店に商品を売り込んだり、営業の人間が(意見だけでなく)開発に直接携わったりしている場合も多い ワークショップ『MACHINE FRIEND』 (武装神姫飛鳥ちゃんエウクランてに登場) かつて祖父が経営していた工場を今井一太郎が復活させたショップ バトル施設は無いので神姫センターとは呼べないが、BMA公認ショップである パーツの改造だけでなく、中古部品等の販売や、神姫心理カウンセリング等も行っている 作品中に描写は無かったが、格安の中古武装に並んで神姫の手足なども並んでいて一種異様な雰囲気を醸し出している 裏の廃工場を改装した実験場がある 神姫関連だけでなく、様々なメカの受注生産も行っている 独自設定 ここではこの作品のオリジナル設定を説明します 素体について この世界の素体は、極一部の例外を除いて「フレッシュ素体がスーツ等を着用している」事になってます 素体自体も女性の体を出来る限り忠実に再現されており、いわゆる「えっちな機能」も極一部の例外を除いて備わっております(ただし、処女膜は再現されていない) 『神姫性性同一障害』 神姫特有の精神疾患であり、人間のそれとは異なる 神姫が同性愛を行う事は珍しくないが、男性的な行動を起こす場合に定義される 症状が悪化すると男性的に恋人を愛したいと考えるようになり、存在しない陰茎部を挿入したいと考えるようになる こうして満たされない欲求に押しつぶされ、暴走したり最悪AI崩壊を引き起こしたりする事例も報告されている (ここまで重度のものは報告例は少ない。大抵は恋人を満足させる事により欲求は満たされる) 原因については一切不明 最悪の状態になり、やむをえずリセットされたコアへ同一素体・CSCを組み込んでも発症したという事例は今の所無い (神姫は同一コア・素体・CSCを使用しても同じ性格にはならない為、その因子が発現しない為とも考えられるので、たまたまという意見もある) この障害はBMAも問題視しており、症状の重い「患者」に対して様々な補助を行っている (國崎技研と協力してのツールの処方もその一環) 独自解釈武装について 謎の武装に関しては、作者の妄想が付け加えられている場合があります パウダースプレイヤー ジュビジー標準装備の銃。通常弾の他に特殊弾も発射可能 また弾倉が6発、3発、3発のに分かれていて、それぞれに異なる弾丸を装填可能 メーカー標準装備では、通常弾・煙幕弾・腐食ガス弾が付属している アレルギーペタル ジルダリア標準装備の特殊武装 周波数をセットし振動を与えることで特殊音波を発する その効果は「神姫の聴覚センサーに作用し負荷を掛け、一時的に能力を下げること」 この効果を無効化するには、聴覚センサーの可聴範囲をズラし、特殊音波を聞かないように変更すればよい。この機能は全ての神姫に備わっており、その為アレルギーペタルの効果発揮時間は対象神姫の対応能力に左右される(平均約0.5秒程度) ちなみに使用するジルダリアは発動前に自らの設定を変更している為、自分にはかからない(その為、他のジルダリアが使用した場合はかかってしまう) フローラルリング ジルダリア標準装備 本体の飛行を可能にするだけでなく、ハイパーモード時にはフィンにエッジが付き、切り離して遠隔操作にて攻撃することができる 重力制御装置 イーアネイラやウィトゥルースに装備されている装置 機体を浮かせて移動させるのが主な目的 しかし、イーアネイラは地上での最低限の移動力の確保を目的としているのに対し、ウィトゥルースのそれは積極的に戦術に取り入れる事を目的としている 複雑な合体や、ファストオーガの機動力を支えているのは間違いなくこのシステムであり、また真鬼王のパワーを十二分に発揮する為にもこのシステムが活用されている(力が逃げないように重力をコントロールしカウンターウエイトとしている) さらに反重力フィールドを形成し物理攻撃を逸らす事も出来る
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20554_月光神姫ルキア・ムーン能力 限界突破 必殺技:月光乱舞・如法暗夜 ゲームオリジナルカード 20554_月光神姫ルキア・ムーン/コメント 20554_月光神姫ルキア・ムーン 羅震獄 20554 月光神姫ルキア・ムーン (げっこうしんきるきあ・むーん) 勢力・陣形 タイプ コスト 基本技 羅震獄五神陣 地 6 敵全体を攻撃 さらに補助効果を打ち消すブースト発動【威力120】 能力 ※計算上の数値で表を埋めています。万が一間違いがある場合はコメントよりご報告願います。 初期ステ Lv 0 HP 800 攻 525 防 525 速 130 5 880 551 551 131 10 960 577 577 132 15 1040 603 603 133 20 1120 630 630 1351段階突破 20 1185 670 670 135 25 1265 696 696 136 30 1345 722 722 137 35 1425 748 748 139 40 1505 775 775 1402段階突破 40 1570 815 815 140 45 1650 841 841 141 50 1730 867 867 143 55 1810 893 893 144 60 1890 920 920 1453段階突破 60 1955 960 960 145 65 2035 986 986 146 70 2115 1012 1012 148 75 2195 1038 1038 149 80 2275 1065 1065 1504段階突破 80 2340 1105 1105 150 85 2420 1131 1131 152 90 2500 1157 1157 153 95 2580 1183 1183 154 100 2660 1210 1210 156 このページの先頭へ 限界突破 限界突破 Lv上限 コスト HP 攻 防 1段階 40 7 +65 +40 +402段階 60 8 +65 +40 +403段階 80 9 +65 +40 +404段階 100 10 +65 +40 +40 必殺技:月光乱舞・如法暗夜 効 果 技Lv 威力 敵全体を攻撃 さらに補助効果を打ち消す ブースト発動 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 180 186 198 204 216 222 234 240 252 270 技ランク 補 足 H・SP・極(コスト6) スクショがあれば貼る 編集 この技の説明 / この技の威力一覧 / この技を持つカードの一覧 このページの先頭へ ゲームオリジナルカード 「フロンティア感謝祭」(フロンティア:2015年2月24日~3月3日)期間に F、SP、H、S、過去PR、過去CPのカードを引いて、 「フロンティアポイント」を2000ポイント獲得したプレイヤーに、 20553_白面金剛九尾イヅナ・20554_月光神姫ルキア・ムーン(このカード) の2種からランダムで1枚配布される期間限定カード。 (2周目は1周目に選ばれていないカードから配布となり、2周すれば2種揃えることが可能) 10303_月光神姫ルキア・ムーンとイラストは同じのアナザーで、背景、ステータス、基本技、必殺技が異なる。 フロンティア 実装日:2015年2月24日 フロンティア+ 実装日:- このページの先頭へ 20554_月光神姫ルキア・ムーン/コメント 名前 ステータス/技威力等の追加掲載依頼は以下↓↓にご記入ください コメントの最初に、カード名として【 [[20554_月光神姫ルキア・ムーン]] 】を入力(【 】内をコピペ)してください (ステータス掲載用コメントは全カードで共有します。カード名を入れないと、どのカードのステータスか判りません)。 Lv20 HP952 功624 防528 速124 - 10214_武神将ヘルマティオ 2015-02-02 18 11 01 名前 このページの先頭へ
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与太話13 : あぶないマシロ刑事 注意! TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 もう一度言いますが、 TVアニメ武装神姫、第八話のネタバレを盛大に含みます。 カウントダウンTVをご覧の皆さん こんばんは、エルです。 アニメからの情報ですがどうやら最近、神姫のアップデートと偽ったウィルスが蔓延しているそうです。 侵食された神姫は強制的にスリープモードにされ、AIを侵食されるとのこと。 MMSメーカー各社からも注意喚起のメールが届いています。 最悪の場合、二度と目を覚ますことなくマスターとお別れをしないといけないなんて、まったく恐ろしい限りです。 ですが、少なくとも私のまわりの神姫たちはこのようなウィルスには引っかかりません。 怪しげなアップデートはしない、という情報リテラシーがばっちり浸透しています。 それというのも、過去に同じ手口で罪を犯した神姫が身近にいるのです。 ◆――――◆ 「過去と同様の手口を使う度胸だけは褒めてやろう。では死ね」 身柄を拘束されて口をテープで閉じられたカグラは何度も首を振って、マシロ姉さんに必死に命乞いをしている。 両眼から溢れ出る涙の滝を貫こうとするランスがかろうじて留まっているのは、私たちが必死になってマシロ姉さんを止めているからだ。 「落ち着いてマシロ姉! まだカグラが犯人って決まったわけじゃないんだから! 冤罪だったらどうするのさ!」と叫びながらマシロ姉さんの右腕にしがみついているメルに対して、マシロ姉さんはまったく悪びれる様子もなく言った。 「その時は前科のある神姫が一体消えるだけのこと。竹櫛家へ害をもたらす可能性を僅かでも摘むことができればそれでいい」 「よくねーよ! 竹櫛家の中でオマエが一番危ないっつーの!」 メル同様、コタマ姉さんまでもマシロ姉さんの腰にしがみついている。 ちなみに私は後ろから尻尾を引っ張っていて、両足をアマティ姉さんとほむほむ姉さん「俺の名はホムラだ」が止めている。 ハナコ姉さんは怯えながらも必死にカグラを庇おうとしている。 これだけの人数でやっと制止できるのだから、『ナイツ・オブ・ラウンド』の名は伊達じゃない。 「お願いですから待ってくださいマシロ姉さん! せめてまず取り調べを! ほ、ほら、昼ドラの刑事さんが犯人に牛丼とか食べさせたりしてるじゃないですか」 ほむほむ姉さんが「牛丼? 普通はカツ丼だろう」とつっこむのを聞いたのか聞かなかったのかはともかく、「昼ドラ」という言葉にピクリと反応したマシロ姉さんは唐突に力を抜いた。 そのおかげで全力を振り絞っていた皆がつんのめって転んでしまった。 「なるほど、取り調べですか――ええ、そうですね、その通りです。私としたことが重要な手順を忘れていました」 急に機嫌を良くしたマシロ姉さんはランスを収め、ひたすら泣くことと首を振ることしかできないカグラの口からテープを剥がした。 「ブハッ」と息を吐き出した後も、カグラの呼吸はフルマラソン完走後のように荒れていた。 マシロ姉さんを取り押さえていた皆とカグラを庇っていたハナコ姉さんが固唾を飲んで見守る中、取り調べが始まった。 「正直に答えろ。貴様がアップデートに見せかけたウィルスをネットにばら撒いたのだろう?」 「ち、違うにゃ! ワガ、ワガハイ、そんなことしてないにゃ! 考えてもみるにゃ、前にワガハイがやった時は誰にも気付かれずに神姫たちのAIをいじるのに成功してるにゃ! アニメみたいにすぐ注意喚起が出たり対策されたりするようにゃ下手な手口は――」 「犯人は必ず嘘をつく。嘘つきは泥棒の始まり、という言葉を知っているな。だから犯罪者は未然に消しておかねばならない。では死ね」 取り調べが終わった。 私を含むみんな予想していたのか、マシロ姉さんが動き出すのと同時に元の格好に戻った。 「マシロ、オマエ昼ドラでなに勉強してたんだよ! オマエが見てるドラマじゃ取調室で銃弾が飛ぶのかよ!」 「コタマ、これは妹君を含む竹櫛家のためなのです。恐れ多くも私たちは神姫でありながら竹櫛家の家族として迎えられています。私はその恩義に報いるために平穏を守ろうとしているまでのこと。あなたも守護の対象になっているのですよコタマ。あなたがいなくなることで妹君を悲しませたくはないでしょう」 「オマエが起こす事件のほうが鉄子ちゃんにとって迷惑に決まってんだろうが! 身内から神姫殺しが出るとか嫌すぎるわボケ!」 「フッ、そのようなことは想定済みです。家を出る前に兄様のオーナー登録抹消を済ませましたから、今の私はただの野良神姫です」 こんなことを平然とやってのけるのがマシロ姉さんだ。 身内のためならば自分を含む他のすべてをゴミ同然に扱う。 私は時々、マシロ姉さんと友達になれてよかったと心の底から思う。 もし赤の他人だったら、白銀のランスがいつ私に向けられるか分かったものじゃないから。 コタマ姉さんは「またやりやがったよコイツ」と呆れ顔だ。 「オマエそれで何回鉄子ちゃんと隆仁に迷惑かけたよ、ええ? あのなぁ……ああクソッ、こっ恥ずかしいこと言わせやがって……オマエだって家族の一人なんだろ! アタシの許可なく勝手に家出してんじゃねーよクソが!」 今のセリフ、鉄子さんに聞かせてあげたい。 あのコタマ姉さんがこんなに感動的なことを言うなんて。 マシロ姉さんにとっても意外だったのか、再び力を緩めてくれた。 そのおかげで再びつんのめって転ぶ私たち。 カグラはもう放心状態だ。 「ふむ……………………まぁ、いいでしょう。今日のところはコタマに免じて引くとします。そこの猫、次に何かあった時は命がないと思え」 すごい勢いでカグラが頷くと、マシロ姉さんはプイと回れ右して帰っていった。 エメラルド色の豊かな髪をなびかせたクーフランの後ろ姿に、私たちは呆れや苛立ちや殺意なんかを込めた視線を送った。 「あの性格、どうにかならないんですかコタマ姉さん。よく一緒の家で生活できますね」 「自分でも不思議に思うぜ。アタシがレラカムイとして起動した時から性格全然変わってないし」 「ワ……ワガハイはもういいにゃ? 解放されたのにゃ?」 今回ばかりは可哀想なカグラを慰めようとした、その時。 「クソねこぉぉぉおおおおおおおお!!」 髪の長い飛鳥型神姫が突然、空から降ってきてカグラの前に着地した。 「ヒィィッ!?」と後ずさるカグラに詰め寄った飛鳥、最近よく名前を聞くようになった『セイブドマイスター』はカグラの状態なんてお構いなしにまくし立てた。 「あんたAIパッチとか作れるのよね!? 今すぐあのアニメのやつ作りなさい、人間とデートできるやつよ! 作れるんでしょう!? この際ウィルスでも何でもいいわ、ノーとは言わせないわよ!」 カグラの厄日はまだ続きそうだった。 ハムスターは? ねぇハムスターはなんで出ないの? ハムスター見れないと寂しいよ? 15cm程度の死闘トップへ